パーパス

【家康のパーパス】パーパスを放棄し存在意義を失う江戸幕府

パーパスは外部環境の変化への適応が重要

パーパスを提示していく上で重要なポイントは外部環境の変化への対応にあると思います。

現在であれば、環境への配慮や仕事と生活における幸福度の向上など、社会への貢献などが企業にも求められています。

それらを包含しているのが組織として掲げるパーパスです。

江戸時代も、徳川幕府が作った合議制と法令を持って、日本全国に平穏な社会状況を生み出すことがパーパスでした。

それが「合議制と法令による天下静謐」です。260年間変わらずに守られてきました。

しかし、260年後に訪れる幕藩体制の瓦解は、外部環境の変化に対応したパーパスの再定義ができなかったことが原因でした。

 

外部環境の変化に対応せずにパーパスの護持を図るリーダー

1840年から1842年にかけてのアヘン戦争で中国がイギリスに敗北し香港を割譲させられる事件がありました。

また日本との貿易や交流を求めて欧米列強の艦船が訪れる機会も増えるなど外部環境に大きな変化が起こりだしました。

これに呼応するように、島津家などの外様大名や水戸徳川家などの御三家・親藩が政治への参画を求めて活動します。

しかし、大老の井伊直弼は、強力なリーダーシップでもって、逆にこれを徹底的に弾圧しました。

外的要因に大名たちが敏感に反応し組織のためにと思った行動を権力でもって圧殺しました。

ただ、この行為は幕府の合議制に外様大名や御三家・親藩を含めない従来の方針を堅守しただけとも見れます。

安政の大獄は「合議制と法令による天下静謐」というパーパスに則った処置でした。

しかし、この処置が大きな反発を生んで桜田門外の変を起こし、幕府の権威を失墜させる事につながってしまいました。

 

自らパーパスを放棄し存在意義を失った幕府

桜田門外の変と坂下門外の変を経て、江戸幕府は下記の問題を抱えて迷走を始めます。

  1. リーダーシップの喪失
  2. 諸外国からの圧力
  3. 天皇と朝廷からの要望
  4. 大名や志士たちからの突き上げ

ここから「陸軍総裁・海軍総裁・会計総裁・国内事務総裁・外国事務総裁」などの独任制を採用し老中等による合議制を廃止します。

また、参勤交代の緩和、大名の妻子の帰国を許すなど武家諸法度の有名無実化も始まります。

結果として、江戸幕府の柱でもある「合議制と法令による」を破綻させてしまいました。

さらに「天下静謐」という最大の目的さえも大政奉還という形で朝廷に返上してしまい、江戸幕府はその存在意義を見失います。

こうしてパーパスを放棄し存在意義を失った幕府は、当然のように求心力を失い続々と傘下の大名たちが離れていきます。

逆に薩摩藩や長州藩は、「天皇を中心とした富国強兵」を掲げて対立軸を鮮明にしていきます。

そのパーパスの元、徳川譜代を含め多くの藩が新政府軍に参加し幕府軍と戦います。

 

まとめ

もし、14代将軍の就任争いの時に、強権的な弾圧を行わずに、外部環境の変化や諸侯の要望とすり合わせてパーパスの再定義をしていれば、その後も江戸幕府は続いていたかもしれません。

例えば、下記のように再定義し幕府の存在意義を高める事です。

  1. 外様大名や御三家を含めた諮問機関を設ける
  2. 法令も時代に合わせて改善する

常に外部環境は変化していくものなので、かつては理想的だったパーパスも時代に合わずに陳腐化する恐れがあります。

変化していくメンバーのパーパスや想いとすり合わせていく事が大事です。

そのようにして組織のパーパスも時代に合わせて再定義や更新作業が必要です。

江戸幕府の終焉は、パーパスを無理に維持させようとする事や、パーパスを崩壊させるような改悪を行ってはいけないという事例だと思います。




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