SWOT分析 どうする家康

【どうする家康】桶狭間の戦いで、SWOT分析

どうする?まずは、SWOT分析してみましょう

2023年1月、NHKで大河ドラマ「どうする家康」がスタートしました。

松本潤が演じる松平元信、後の徳川家康が、窮地に追い込まれて色々な選択を迫られる事をテーマにしているようです。

第一話を見たところ、早速桶狭間の戦いで今川義元が織田信長に敗れて、松平家の当主として今後どうするのかの決断に迫られます。

現代ほど情報網が発達していない時代において、判断及び決断を下すのは非常に難しく勇気がいる事だと思います。

その選択に、自分の命だけでなく、家族や親戚、そして家臣たちの命や生活が掛かっています。

これは、現代の経営者が置かれている状況と似ています。

現代であれば今後の組織の戦略を考える上で、まずは現時点での組織のSWOT分析がおススメです。

松平家と家康が置かれている状況を現代のビジネスフレームワークで分析してみると、その後の家康の選択の理由や戦略が分かるかもしれません。

という事で、桶狭間の戦い直後の松平家のSWOT分析をしてみました。

 

桶狭間の戦い後の松平家のSWOT分析

第一話の最後で桶狭間の戦いで今川義元が織田信長に打ち取られた時点での松平元信(徳川家康)のSWOT分析です。

 

強み(Strength)

松平家の強みは、何といっても三河の家臣団と兵の強さです。

通説では、甲州・越後・三河・薩摩の兵は、尾張や美濃の兵よりも強いと言われています。

これは武力という意味よりも忍耐力の方を差しているのかもしれません。

特に家臣団には立花宗茂と並び称される本多忠勝を始め鳥居元忠など武辺者が多い点は強みと言えそうです。

また、三河は約30万石で、隣国の尾張ほどではないにしても、駿河や甲斐などよりは豊かな国です。三河への影響力は強みです。

義元は死にましたが、今川家との良好な関係性もこの時点ではまだ強みかと思います。また勢いのある織田方には、伯父の水野信元が属しており、今後の戦略を考える上で重要になりそうです。

 

弱み(Weekness)

最大の弱みは本拠地の岡崎城を今川家の城代に支配されている点です。居城を持たないという事は、ただの野武士や浪人集団です。

加えて、正妻の築山殿と嫡子竹千代こと後の信康が今川家の駿府に囚われている点です。

今川家に従属している以上、この二人は人質の役割を担っていますので本来なら大きな弱みとなります。

三河家臣団に武辺者が多い点は弱肉強食の時代においては大きな強みでもありますが、調略や謀略が入り乱れる時代では弱みにもなり得ます。

織田信秀や松平広忠の時代からの遺恨もあり、両家の関係はこれまであまり良くなかったものの、信長と家康に世代交代している為、二人の決断によっては変わる可能性はあります。

 

機会(Opportunity)

義元を破って勢いにのる信長ですが、この時点ではまだ尾張を完全に統一できておらず、三河などの今川領へ兵を割く余裕はありません。

また従属先の今川家は当主の義元だけでなく、多くの重臣も失っており、勢力の弱体化は明白です。

あと、家康が把握できていたか微妙なのが、長尾景虎による関東出兵及び小田原城の戦いが始まろうとしている点です。

この長尾家の行動により、今川家の同盟国である武田家や北条家の動きが牽制されます。

 

脅威(Threat)

脅威は今川家・武田家・北条家の甲相駿三国同盟です。

特に今川家と北条家は北条家を興した伊勢新九郎こと早雲の時代からと関係が深いので、今川家と対峙すると北条家とも戦う事になります。

西には三河と接する信長が率いる織田弾正忠家が勢力を拡大しており、家康の本拠地であった岡崎城に非常に近い点は大きな脅威です。

 

まとめ

家康としては強力な家臣団と兵を有し、織田と今川の両方と外交ルートを保持しています。

一方で、尾張統一や美濃攻略を進めたい織田家と、組織の立て直しを図りたい今川家にとっては、三河という地理的な位置と松平家の軍事力は侮れない存在です。

松平家は強みと機会を活かした戦略を取れる状況が生まれています。三河30万石を支配下に置ければ松平家は有力な大名になれます。

大きな弱みでもある駿府にいる築山殿と信康については、築山殿が今川家の有力家臣の娘であることから、人材不足の今川家が簡単に処刑できる状況ではなかったと思われます。

そうすると、あとは岡崎城させ奪取できれば、弱みをかなり低減できそうです。

もし、中小企業診断士である私が家康の家臣であったなら、今まで通り今川家に従属して地位上昇を目指す事を勧めるのか、織田家との誼を通じて三河を回復するように助言するのか。

そういう視点で見ていくと「どうする家康」のテーマとも合致して、よりドラマを楽しめると思います。

さて家康はどう決断するのでしょうか。




人気の記事

1

伊達政宗の独眼竜ブランドを活用した生き残り戦略 南奥州の覇者とも呼ばれる伊達政宗ですが、年齢的には織田信長の孫の織田秀信と近いので、信長や秀吉よりも三世代も若い戦国大名です。 若手のイメージの上杉景勝 ...

2

現代にも通じる中小大名の生き残り戦略の巧みさ 戦国時代は、乱高下の激しい時の証券市場のように、一つの判断を誤るだけで大損失ならぬ大被害に合い、御家の滅亡に繋がります。 特に、真田家のような10万石以下 ...

3

豊臣秀吉や明智光秀を輩出した織田信長の人事制度 戦国時代に、革新的な事績を残した戦国大名と言えば、織田信長を思い浮かべる方が多いと思います。 ただ、昨今の研究では、かの有名な楽市楽座を初めに導入したの ...

4

剣術に禅の精神性・思想性を加えて差別化した柳生宗矩 柳生十兵衛が有名な柳生家は、現在の奈良市の柳生町周辺にあった柳生庄の土豪として、戦国時代には松永久秀の配下として、大和国内の戦などで活躍していました ...

-SWOT分析, どうする家康